宝塚BOYS
札幌公演:2007/07/12
於:北海道厚生年金会館
<出演>
【BOYS】
竹内重雄 : 葛山信吾 星野丈治 : 吉野圭吾 上原金蔵 : 柳家花緑
太田川剛 : 三宅弘城 長谷川好弥 : 佐藤重幸 竹田幹夫 :須賀貴匡 山田浩二
: 猪野学
君原佳枝 : 初風諄
池田和也 : 山路和弘
時は終戦直後、男子禁制の女の園に集った宝塚歌劇団男子部の夢は宝塚大劇場の舞台に立つこと…
【あらすじ】
終戦直後、男子禁制の宝塚歌劇団の稽古場に男子部となるべき男達が集う。
最初にその場に居たのは上原金蔵で、宝塚男子部結成の引き金となった男。
元々宝塚が好きだった彼が創始者である小林一三に男子部結成を願う手紙を出したことにより、国民的大衆劇を目指していた一三を動かしたのだった。
男子部の守り役と言うべき池田和也に男子部を纏めるリーダー役を任された上原。
次々と稽古場に集まる男達は親が旅役者の女形だったりダンサーだったり自称闇市の愚連隊を率いていたやくざもの(本当は日本舞踊の師匠の息子)だったり宝塚付き楽団の奏者だったりと個性豊か。
そんな彼らがまずは二年みっちりと稽古を積み、実力があるものから大劇場への登用も有りと聞かされる。
下宿で共同生活を営みながら、和気藹々と稽古を続ける彼ら。
男子禁制の花園のモットーは『清く、正しく、美しく』
男子部の彼らは遙か遠くに咲く可憐な花々にほのかな恋心を持っても、一切接触は不可。
そのジレンマや地道な稽古の日々に悶々とし、劇団内部や観客達からの反感や嫌がらせ等に藻掻きながらもいつか大劇場の舞台に華々しく立つことを切望し、男女合同劇を夢見て稽古に励む。
やがてようやく舞台に2名だけ出演が決定したが、それは馬の脚。
地道にやっていればいつかは合同劇を…と、健気に稽古を続けるBOYS達。
そんな中、体調が優れなかった太田川が入院してしまう。元々肺が一つしかなく、片肺でハードな稽古をしていたため、肺が悲鳴を上げている状態だとのこと。
稽古場に戻りたいと切望する太田川の分も頑張ろうとするBOYSだがやはり志気は下がってくる。
そんな折り、とうとう男女合同劇の脚本が出来上がってきた。
BOYS達の生い立ちなどをさり気なく組み込んだ設定と自分達で付けた芸名が表記された脚本に狂喜乱舞する彼ら。
初めての女性相手役の台詞に合同劇を実感するBOYSだったが勝手に始めた練習中、やはり相手役が男性(竹内。若干オカマっぽい)では気分が出ないと長谷川がぼやき始める。
急遽練習の相手役を彼らの身の回りの世話をしてくれている下宿のおばちゃん・君原佳枝に任せることに。
ところがこの君原、実は元タカラジェンヌで台詞や所作など完璧にこなす。
君原を娘役トップに見立て、歌い踊るBOYSで一幕暗転。
結局虚しく月日は過ぎ、いつまでたっても合同劇は実現しない。
何度も何度も同じ稽古を続け、希望を持ち続けるのも困難になりつつあるBOYS達。
そんな頃、出征したまま戻ってこない父を健気に待つ竹田の元に死亡通知が届けられ、星野はとうとう男子部を辞める決心をして出ていこうとする。
『芝居がしたい…美しい夢が見たい』と舞台への切ないほどの渇望を露わにする長谷川。
そして太田川が病院を脱走し行方不明に。
彼らは太田川を探しに稽古場へ向かうと、やはり太田川はそこにいた。
汗の染みついた稽古場の匂いを感じながら生きていることを実感するが、探しに来たBOYSにあっさり発見される。
深夜の稽古場につどった彼らの元に池田が悪い知らせを持ってやってくる。
とうとう男子部の解散が決まったとのこと。
彼らのこの数年は無駄ではなかったと、美しい夢を見たのだとそれぞれ笑顔で旅立つ決意をする。
暗転し、舞台中央に大階段が競り出てくる。電飾で飾られミラーボール煌めく大劇場の夢の舞台で、BOYS達が歌い、踊る。
エトワールは勿論君原佳枝。朗々と可憐に歌い上げる姿は娘役トップの貫禄十分。
誇らしげにステッキとハットを手に燕尾姿で踊る彼らは紛れもなく宝塚の夢の世界を垣間見せる。
フィナーレは小さいながらも皆羽を背負い、シャンシャンを手に階段を降りてくる姿は誇らしげでありまた哀しげでもあり…。
暗転し後、BOYSは各自身の回りの荷物を手に稽古場に集っていた。汗を流した思い出の稽古場に恭しく一礼して去っていく。
それぞれの道を歩むために……。
相変わらず長ったらしいあらすじですな。。。我ながら纏める能力が欠如している。。。
ってなワケで取り敢えず見た感想は素晴らしかった、と。
話自体はもの凄く重苦しいわけですよ。
何と言っても誰も知らなかった(ヅカ好きなワタクシも知りませんでした…)宝塚男子部のお話なわけで、先行きが判っちゃってるわけです。
彼らが夢の大劇場に出るわけもなく。。。でもそれを切望している姿がとにかく哀しくてツライ!
かなりコミカルなシーンを加えてあって常時笑いは耐えないのですが。
集められたBOYSが必死に稽古するシーンはとにかく爆笑です。
体の硬い山田浩二が褌一つでバレエのバーに脚をかけて伸ばそうとするシーンや、踊ってるつもりでチャンバラの殺陣のようになってしまう長谷川。
とにかくオッサン達が必死にジェンヌになろうと努力する姿が滑稽ですが、そのひたむきな思いに胸が思わず熱くなったり。。。
各々が付けた夢溢れ過ぎの珍妙な芸名もかなり笑えます。
ラストのレビューのシーンは圧巻でした。
いや、男子であれだけ出来れば文句無しですよ。
何と言っても吉野さんが凄い。流石吉野塾・塾長!!踊る姿も美しい。
そしてシゲ。あの薄いメイクであれだけジェンヌになれるとは。。。感動したよ!
手先の動きまでびしーっと決まっていて、お得意のキレのある動きが元星組トップ・湖月わたるさんを思わせるよ。
因みに顔は汐風幸ちゃんそっくりだが(笑)
はらりと一筋落ちた前髪にも色気が漂う見事な化けっぷりに感動しましたよ。
一幕暗転前の稽古シーンで袖に走り去っていく姿がまたジェンヌをきちんと研究したようで(笑)
なんていうか。。。特有の女走りなんだよね、ちゃーんと(笑)
因みにこの時の暗転後、舞台にいたシゲや多分三宅さんあたりだと思うのですが数人が並んだまま手を繋ぎ、これからロケット(ラインダンス)でも始めるのか〜!?って感じで退場していきました(笑)
で、最後。
カーテンコールは大喝采の中、シゲが勢いよくジャンプして下手から舞台に飛び出してきましてきょろきょろ。
他の皆さんが後から続いて出てこない。
慌てたシゲ、必死の眼差しで舞台袖を見つめて手招きするも誰も出てこず、慌てて呼びに戻ると勢いよく突き飛ばされてまた広い舞台にただ一人。おどおどするのもまた可愛いのう。
そんな姿に道民はまた大喝采。
で、戻った後ももう一度押されて一人で飛び出してしまうというオマケ付きでした(笑)
取り敢えず見られなかった方はDVDを購入しても損はないと思いますよ〜。
何よりレビューシーンだけで元を取った気になれます(笑)
2007/07/16up
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