まん
ぴん

2007初夏の巻

2007年 06/03 於:KRAPS HALL

漫 九 一 一 四 断 五 暗
才 死 心 発 面 崖 里 中
一 一 不 逆 楚 絶 夢 模
芸 生 乱 転 歌 壁 中 索

全3ステージ:13時 16時 19時
観覧:19時の回

<Cast>
まさかり金太郎:
河野真也
人事部・食料部・サラリーマン:
藤尾仁志
会長・総務部・通りすがりの小学生・弔問客のホームレス:
大下宗吾

今回はミュージカル風ハートフルコメディと銘打たれたコント芝居。

『日々の生活に疲れ、ふと公園のベンチに腰を下ろしたサラリーマン。そこでキャンプをしている人々と出会う。』…とはパンフレットより。


最初にこの暫しの中からクイズが出題されることが告げられました。
よーく見ていれば解る問題です、との事でいよいよ始まりました。


【あらすじ】


時はある晴れた金曜日。場所は街中の公園。下手に仕事に疲れてベンチで休憩をしているサラリーマンが一人(河野真也)。
上手側にもベンチらしきものがありその後ろには段ボールとブルーシートで作られたテントが。
舞台中央には小型冷蔵庫を改造したようなテントとアルミ缶で出来た謎の人形らしきもの

上手ベンチに座って空を見上げ芋虫(雲)を眺めたりしているのはこのキャンプの人事部で本名は木村(藤尾仁志)
七輪で魚を焼いて食べたりもしている。
謎のアルミ缶人形はここの社長で会長の奥さんでもあるらしいタカハシアルミちゃん。そして冷蔵庫から顔を覗かせたのがこの場所で戦後すぐからキャンプを張って約60年。年齢不詳の会長(大下宗吾)。
彼ら(主に人事部)が手作りで出したらしい本も見せて貰う。
『ドバイばあちゃん』中東のドバイに住む婆ちゃんの話なのか…?
『今、タイに行きます』単に旅行記か……?
『風邪ひいちゃったわー〜悪寒と熱と時々〇〇(忘れましたスミマセン)…かなりの力技だな(笑)

サラリーマンはこの二人に誘われ、一日体験キャンプを一緒にしてみることになった。
付いた名前は金太郎。
『サラリーマン』だからではなく、まさかりを担いだ方のイメージ通称『まさかり金太郎』になし崩し的に決定してしまう。
一旦会社に戻り仕事を終えた金太郎は3800円で買ったワンタッチテントを手に、興味津々でキャンプに参加する。
ゴミからアルミ缶とスチール缶を分別し、集めた段ボールを売って僅かな生活資金を稼ぐ生活。
金太郎はまずビリーズ○ートキャンプを思わせるブルーシートキャンプを習う。
シート一枚分のスペースで難なくこなせる七日間集中タイプのキャンプ(笑)
アルミ缶スチール缶を仕訳し、業者に高値で買い取って貰うときの喜び感まで余すところ無く詰め込まれたすぐれもの。

更に此処での生活のことをスーパーマンのコスプレもどきのような格好でスーパーの試食販売状況に精通している食料部の青年(藤尾仁志)や、何だかんだ言ってトイレのことしか教えてくれない総務部のおばちゃんに学び、この日は就寝。
夜半強風が吹き荒れたが日付替わって土曜日の朝は晴れ渡っている模様。
会長のテントでは強風で首がすっ飛んでしまったアルミちゃんのお葬式が営まれていた。
喪服に着替えろと言われる金太郎だが、用意してあるはずもなく人事部からネクタイ替わりにほんのり磯の香りが芳しい昆布を借りて襟元へ装着。
人事部は喪服の替わりに学生服を羽織り、黒ければこの際何でもいいという態勢。
食料部の彼は普段着ているスーパーマンもどきの格好を黒バージョンに着替えて参列。
謎のホームレス弔問客(大下宗吾)に至っては素肌に黒ゴミ袋を被っただけ。

アルミちゃんの遺影の前に跪き、線香替わりに木の棒や歯ブラシを備え、焼香の際の鐘の替わりに自転車のハンドルに付いたベルをハンドルもろとも高く掲げて鳴らすという珍妙な儀式は淡々と進む。
よく見れば遺影の後ろに有る黒白の鯨幕は黒いシャツと白いシャツを竿に交互に干した物だった……。
アルミちゃんの首はプラスチックの衣装ケースに入れられ、弔問客に死に顔を見ていって貰う。
時折衣装ケースが空かないと、金太郎が上から荒々しくケースを殴りつけては引っ張り出し『宜しければどうぞお顔を見ていって下さい…』と笑顔で恭しく告げる。

そんな頃に総務部の婆ちゃんが現れる。この婆ちゃん、金太郎を見ては『……タカシ……帰ってきたんだね?』と毎度呼びかけるが、タカシは息子でも何でもなく、単に飼っていた豚の名前でした。
ここで総務部婆ちゃん、実は会長さんに惚れていたことが発覚。
昔は炊き出しのボランティアでこの公園に来ていた総務部。会長のセクハラ行為を嫌がっているうちに実はそんな彼を好きになっている自分に気付いたとのこと。
歳を取り、アパートで一人で暮らすよりもみんながいる賑やかなこの場所での生活を選んだらしい。
またここは65才定年で、年金が支給されるようになると皆退職していくのだそうだ。

総務部の婆ちゃんの話を人事部に告げる金太郎。
人事部は自らの事も語り出す。
会社勤めしながら執筆活動をしていたが会社からは認めて貰えず、あげくそれを盗作されて出版されたらしい。
解雇され、それが原因で妻子に捨てられ行き着いたのがこの場所だったとのことだった。


一日体験キャンプだったはずなのにどうにも帰るに帰れない金太郎。
そんなときネットカフェで見つけた記事をプリントアウトして人事部に見せる。
記事には盗作され不当解雇され、現在行方不明で家族が捜索願を出している木村ヨウジなる人物のことが書かれてた。
今なら帰れると諭す会長と金太郎。
そして家族の元へ戻る決心をする木村。木村は段ボールテントを押して元の居場所へと戻っていった。
金太郎も不動産行の営業をしていたが、やることやりたいことが解らずに戸惑っていた人生を見つめ直す決心をしてこのキャンプを出ようとするが、その時携帯に一本の電話が―――。

会社が倒産したこと告げる電話だった。


月日は流れ、すっかりここの生活に慣れた新人事部・まさかり金太郎。
以前の自分と同じようにやる気なさげにベンチに座るサラリーマン(藤尾仁志)に笑顔で一日体験キャンプを進めている………。




故タカハシアルミ嬢遺影と下は首収納衣装ケース



あらすじだけ見るとたいして面白く感じませんが、要所要所の小ネタが光ってました。
会長と社長アルミちゃんの漫才コンビ・「取締役」や、食料部の背負った段ボール製マントの裏には手書きのスーパーの地図が書き込まれ、西友がHEY!YOU!に、マックスバリュー⇒ワックスバリュー、フードセンター⇒プードルセンターへと変貌し、細かく書き込まれていたり。

どのスーパーでオードブルやメインディッシュやデザートの試食が出来るかの説明や、股間に入れていた生卵を取り出し、「新鮮そのもの」と豪語しながら一気飲みして見事に腹を下すなどの馬鹿ッぷりが実に楽しい。
また暗転する直前に掛かる一部懐かしい曲。そして朗々と歌い上げる3人が見ていて楽しい&なんか妙に歌上手い…(笑)

◎金太郎がキャンプに参加することになった時:『わたしの青い鳥』「ようこそここへクッククック♪」
◎金曜夕方カラスの被害での台詞『カラスは重大だ!』:『ガラスの十代』「壊れそうな物ばかり集めてしまうよ〜⇒ガ〜ラスの十〜代♪」
◎強風でアルミちゃん逝く:『千の風になって』「アルミの〜お墓の前で泣かないで下さい〜♪」


因みにクイズの出題ですが、メインディッシュを食べられるスーパーはどれ?でした。
アンケートの下に有ったアドレスに住所氏名明記で答えを送付すると何かが当たるとのことでしたが、藤尾くんの作ったアルミちゃんを…なんて河野君が振ったら藤尾くん大憤慨(笑)
アルミちゃんは深夜コツコツと地下で作った大切な物なので、自分の家の小道具部屋に大切に飾るのだそうです(笑)

この回、元祖木村洋二さんも来ておられまして、笑顔で帰って行かれました(笑)




このような感じであったかみのある良いお芝居でした。
これからの彼らにも期待大です。


出口にアルミちゃんの首と衣装ケース、遺影が飾られてました。
弔問客になったつもりでお顔を見せて頂きまして帰って参りましたとさ(笑)




+++ お戻りは閉じましょう +++




2007/06/05


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