TEAM-NACS第11回 公演 及び全国ツアー公演

「COMPOSER 〜響き続ける旋律の調べ

全国公演 : 2005年 4/29 〜 8/26
凱旋公演 : 8/31 〜 9/2 / クローズドサーキット : 9/2


〔観劇日〕

5/4(夜)・5/8(昼)・5/9(夜) 於 : 道新ホール / 9/2(昼) 於 : サッポロファクトリーホール


会場内に入り着席。舞台には幕下りておりました。
やがて響いてきたオーケストラの調律の音が一つのメロディとなり、スモークが静かに焚かれる中、会場は暗くなります。
音が止んだ闇の中、
『2005年っ!!』と、まずモリの声が。そして続けざまに全員で『TEAM-NACS全国公演COMPOSER 〜響き続ける旋律の調べ!』とタイトルが高らかに詠われました。
鳴り響くのはベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。
その曲に合わせて青白いライトがゆっくりと会場を照らし出しました。

真っ暗な舞台中央にスポットライトが当たり、鮮やかに照らし出された大泉氏の姿。軽やかな動きで音楽に合わせて右手のタクトを振る姿は実に華麗。

そして音楽に合わせて振られたタクトの先には音尾、続いては森崎、そして佐藤の姿。皆びしっとタキシードを着てあるものは優雅に、あるものは力強くタクトを振る中…最後に上手から御登場の安田氏。
水色が目にも鮮やかな
新体操のレオタード姿で御登場。ご丁寧に手に持っているのは新体操用のリボン。
皆と同じく棒を振り回しすと、くるくると美しく回転するリボンが幻想的というか…素晴らしいというか(汗)
因みに五月に見た頃はぎこちなかったリボンの扱いも、凱旋の頃にはすっかり手慣れていたようでした。それに反比例するかのように、出の時の笑いのインパクトは無くなっていたようですが(笑)

また、よく安田さんだけステージ上で向きを間違えて立ってしまい、全員が上手側を向くはずなのに一人、後ろの森崎氏を見ながら指揮をしている様は
見事に彼らしいなあ…とつくづく。
何とも言えない苦笑いをしながらモリの顔を見、モリは慌ててタクトで「あっち向け!」と必死だったのが非常に印象的でしたが、これも凱旋公演時にはそんな事もなくすんなり出来ていました。

そして全員が退場した後音尾氏が一人でステージ上手に立ち物語の始まりを告げ、いよいよCOMPOSERが始まります……。



 ルイ(ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)/大泉洋


 作曲家。幼少の頃、父親にスパルタ教育でピアノの練習をさせられた過去を持つ。
 弟達、特にトランペットの才能が有ったカールに多大な期待をしていたが、
 肺病で死なせてしまったことにより自分を責める。
 そのせいか甥のカールを溺愛し、息子として強引に引き取る事になる。
 頑固者で意固地。ナポレオンを崇拝している。
 酒が好きだが、胃を壊していて常に体調が良くない。





 悪霊モーツァルト(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)/安田顕


 偉大なる作曲家。幼少のみぎりからその天才的な才能を見せていたが、
 元娼婦であった愛妻によって毒入りコーヒーで殺害される。
 死の間際に全てを悟り、この世の音楽に自分の未練を残そうと化けて出てきた。
 自分が悟った絶望の音色を継ぐ優れた耳を持つ音楽家を捜しているうち、
 ルイとフランツを見つけて何やら画策しだす。
 お下品な事が大好きで、実は結構お茶目さん。






 フランツ(フランツ・ペーター・シューベルト)/佐藤重幸


 天才的なピアノと作曲のセンスを持っているが、教師である父に認めて貰えず葛藤している。
 ルイやモーツァルトと同じくサリエリに師事し、そこでカールを紹介された。
 線が細い神経質な印象で、一部狂気的な面を持つ。
 唯一自分の音楽への情熱を認めてくれた最愛の母をフランス兵に殺され、
 そのため異常なまでにナポレオンを憎んでいる。
 モーツアルトの声や姿を知覚しうる絶対聴力を持ち、彼にのみ 『メガネ』 と呼ばれている。




 サリエリ先生(アントニオ・サリエリ)/森崎博之

 音楽的な才能にはあまり恵まれていないものの、ルイ、フランツ、カールのピアノの師匠であるように
 指導者として優れた才能を持つ。
 モーツァルトの友であり、ライバルでもあった。
 気のいい性格で、かなりのお人好し。
 海の向こうのジャパン贔屓。大和魂が大好きで、好きな言葉は『お控えなすって!』
 カールやフランツのよき理解者でもある。





 カール(カール・ヴァン・ベートーヴェン)/音尾琢真

 ルイの弟・カールの息子で、父と同じく遺伝性の肺病を患っているが、本人は知らない。
 ルイにピアニストへの多大な期待をかけられているが、本人は実の父・カールと同じく
 トランペット奏者になりたいと思っている。
 フランツから渡された詩集にのめり込みその詩を朗読したり、フランツの母のような不幸な犠牲者を出さないために
 軍人になりたいといったような、優しくてロマンチストな気質。
 父の自分への大きすぎる期待と愛情から抜け出そうと足掻く。




<あらすじ>

物語は19世紀のボンから始まります。
ステージ奥には亡き父の遺影が掲げられ、ステージには頭角を現し始めていた音楽家の長兄・ルイ(大泉洋)と、ピアノの腕は良くないがトランペットでの力量を兄に認められていた次兄のカール(佐藤重幸)、更にはウィーン最後の音痴と名高い末っ子のヨハン(森崎博之)がこれからは三人で生きていくことを誓い合う中、カールがパン屋の娘で娼婦との噂があるヨハンナ(音尾琢真)との結婚をルイに告げ、勘当をされてしまいます。
二年後カールは息子のカール(音尾琢真)を連れてルイの元に現れました。生まれつきの肺病で長くは生きられないと診断された息子を、せめて一度でいいから偉大な音楽家の腕に抱いて欲しい…と。
遺伝性の肺病は娼婦・ヨハンナの不義密通のためではないかと罵るルイに、殴りかかったカールは肺病の発作を起こし、そのまま帰らぬ人となりました。
手荷物の中にはルイがカールの後見人になりヨハンナの元で育てて欲しいという遺書が残されていましたが、ルイは甥のカールの親権を奪い取って自分の元で最愛の息子として育て始めます。
そんなルイを闇から見ていたのは悪霊(安田顕)。自分の絶望を継ぐ者を見つけたと、なにやら不穏な表情を浮かべて。

それから十数年後この悪霊が次に目を付けたのは、若き音楽家・フランツ(佐藤重幸)でした。
同じくサリエリ(森崎博之)の元でピアノを習っていたルイの息子・カールと知り合ったフランツは、カールを利用して作曲家になり、自分の才能を認めようとしない父を何とか見返そうと画策しだしたフランツの陰鬱な念に引き寄せられるかのように。

また、カールが何の気無しにフランツに見せたフランス皇帝ナポレオンへ捧げる曲の楽譜を見た彼は逆上します。
彼の母親はフランス兵に撃ち殺されたからでした。
ますますネガティブな感情に支配され始めるフランツの元にいよいよ姿を現した悪霊は自らをモーツァルトと名乗り、大作曲家であるルイへの尊敬と憧れをずたずたに引き裂いて絶望の世界へと巧みに引き込みもうとします。


一方カールは父の望むピアニストではなく、トランペット奏者になりたいことをルイに告げますが、ルイは肺病を患っていることを本人に告げて何とか諦めさせようとします。
ただ、生きながらえさせたいために。
いつまでも一緒に居たいと望むルイの親心でしたが、カールは反発します。

そんなカールと、堅物の教師である父に認められないフランツ。
二人は互いにどこか境遇が似ていると感じ始めます。
そして母が撃たれた銃口を戯れにカールに向けてみせるフランツ。そして父からの抑圧と肺病への恐怖から自暴自棄になり始めているカールは自ら銃口の前に立ちます。
結局は引き金を引かずに冗談で終わらせたのですが、この一件が後で更なる事件への引き金になっていきます。


カールはといえば、フランツから貰ったシラーの「歓喜」の詩に夢中になります。
それは頑固で他人の意見も自分の意見も全く聞き入れようとしない父・ルイへの反発の顕れともなって、自分の世界に引きこもるかのようでした。
やがてカールは自分を呼び止めて懐かしそうにする一人の婦人が母・ヨハンナであることを知りました。
そして自分を認めようとしてくれないルイに反発し続けるカールは、フランツと共に盛り場を彷徨き、家に帰らなくなっていました。


ある日初めてルイの元を訪ねたフランツに、ルイはカールを盛り場に誘いだしているのはフランツだと責め立てます。
が、フランツはカールが家に帰らないのはルイ自身のせいであることを告げ、逆に責め立てます。
そしてその裏で糸を引くのは勿論悪霊・モーツァルト。
尊敬していたルイが母の敵を敬愛していたことにたいしてもっと憎しみと絶望を募らせるよう煽り立てます。
またルイに対しても悪霊は牙をむき始めました。
姿を見せずその心に囁きかけ、カールの親権を無理矢理ヨハンナから奪った事実や、自分が嫌っていた亡き父の言動をいつの間にか自分がそっくりそのまま受け継ぎ、カールをがんじがらめに縛り上げている事などを目の前に突き付けます。

の話を影で立ち聞いていたらしいカールに対し、今のは全て真実ではないと必死に否定するルイに、カールは全ての真実知ってしまったことを告げました。
それでもまだ真実から目を逸らそうとして足掻くルイにカールは『父親でもないくせに!』と食ってかかられ、『一番関係ないのはアンタだ!』と叫ばれてしまいます。
更に今まで自分がしてきたことが全て間違いだったとモーツァルトに突き付けられて責め立てられたルイは全てを拒絶し、闇からの嘲笑に絶望します。
ルイは『聞きたく無い……もう全部聞きたくないのだ!』と叫び、その言葉通り全ての音や言葉を拒否するかのように、彼の聴力は失われてしまうのでした。



暫くして、母の元に引き取られたカールがルイの元を訪れます。
耳の聞こえなくなったルイとは筆談かジェスチャーでの会話になるのですが、最初は和やかに語り合っていたものの、トランペットを諦めたカールが今度は軍人になりたいという意思を告げた途端、ルイは激昂し始めます。
死んで欲しくない…側にいて欲しいという思いを素直に伝える事が出来ず、ただ否定し続けるだけのルイに腹を立てたカールは結局今までのルイと何ら変わらない事に絶望し、その場を立ち去りました。
そしてルイもまたその心に絶望を奏で始めます。


それらの全てをモーツァルトによって見せられていたフランツもまた、絶望と後悔の念にとらわれていました。
そんなフランツの元に母の再婚相手に疎まれ、行くあても帰る場所もなくしたカールが現れ、以前カールに突き付けた銃を奪うと、今度はカールがフランツに銃口を向けます。
フランツは自分の境遇を嘆き、自分の憧れていた環境にあってもそれを良しとしないカールを甘えているだけだと責め立ててしまいます。
カールは最後に『有り難う…』と残し、銃を自らの頭に向けて引き金を引きました。

辛うじて一命を取り留めたものの、意識を無くして譫言を呟くカール。失明の可能性もあるとルイに告げるサリエリ。
ルイはそんなカールの車椅子を押しながら、カールの父でルイの弟であるカールの話をしながら、その形見であるトランペットをカールの手に握らせます。
『もっと早く渡せば良かった…』『少しでも長く生きていて欲しかった』『もう一度お前の声が聞きたい…俺を責める言葉でもいい……』と嘆きます。
カールはただ口許を動かしては譫言を呟くばかりでした。

そんな時見舞いに来たフランツがカールの言葉を読みとりました。
それはフランツが渡したシラーの歓喜の詩。
そしてフランツは一つの提案をしました。
この歓喜の詩に曲を付けてカールへの思いをその耳に届けて欲しい…と。


ルイの中に生まれては溢れてくる音のイメージをフランツが一つずつ丁寧に正確に譜面へと書き留めていきました。
二人でメロディを口ずさみ、徐々に旋律は高らかな音色を奏で始めます。
旋律の中心にあるのはカール親子が愛していたトランペットの音色でした。

その様子を闇から見つめるモーツァルトは不満げの様子。
ルイが絶望のその先に何を見出したのか、どんな音色を奏でるつもりなのか…不安に駆られていきます。


カールの誕生日の5月7日、100人近くのオーケストラを集め、いよいよ演奏会が始まります。
ルイは尽力してくれたフランツに礼を言うと共に、その確かな才能を認めました。
そして自分を越えてみせろと激励の言葉を伝えました。
更に手渡した袋の中にはとある指示書きとタクト。そして鮮やかな黄色のスカーフが。

いよいよ演奏が始まり、ルイがその聞こえぬ耳で指揮をとります。
まったく無音の中で、自らのイメージのみでタクトを振り続けるルイ。その様子を嘲笑うモーツァルト。
案の定オーケストラと指揮はずれていますが、その演奏はしっかりと安定したものであり、望むような酷い演奏にならない事に悪霊は苛立ちを覚えます。

のびのびとしなやかにタクトを振るルイ。
そして客席には一人の男が懸命にタクトを振っていました。黄色いスカーフを付け、眼鏡をかけた男でした。
やがて演奏がが終わり、全ての力を出し切ったルイの耳に静かな声が響きます。
『誰だ?』と問う言葉に、声の主は静かに『誰だじゃない…皆だ。皆が呼んでいるぞ……』と囁きます。

再び幕が開いた会場からは割れんばかりの歓声と響き渡る第九の音色。
『これこそが歓喜だ!絶望を越えたところに歓喜がある!』
『身体が震え上がるような歓喜とはこれだ!』
そう叫び舞台に崩れ落ちるルイ。


第九の演奏から3年後、ルイはこの世を去る。
そして奇跡的に回復し、姿を消してしまった彼の息子カールへ偉大なる父の息子への想いが詰まった第九の楽譜を手に、悪霊を連れたまま各地へと演奏旅行へ旅立っていたフランツ。
そしてルイの死後一年で、ルイと同じ病でこの世を去っていきます。


そして何処かの街で辿々しくトランペットを吹くカール。うっすらと目を開けたその視線の先には息子のトランペットの音に合わせてタクトを振るルイの姿が。
息子の演奏に子供のように笑って手を叩いていたルイの姿が見えていたのか…うっすらと微笑むカール。
その手元にはきっとあの楽譜が届いているのでしょう…。



ラスト。舞台の上ではモーツァルト、ルイ、フランツがそれぞれにタクトを振っていました。



今回は長丁場とあって、お芝居がどのように進化していくのか…と、楽しみ半分怖さ半分でしたが、思ったより変化が無くて一安心でした。

LOOSERの時は途中がごっそり変わってしまったので、一部印象が違ってしまった所も多かったので。

大まかな印象は殆ど変わらず、微妙な言い回しが違っていたり補足された部分があったりと言う感じで、見やすく分かり易くなっていました。

ただひとつ残念なことは。。。実は安田氏。
モーツァルトの動きがこなれすぎて、凱旋では少々面白みが欠けていたかも。
というのもハナタレで琢ちゃんが踊っていた踊りの部分(道外の方はごめんなさい…)
両手を高く上げて右に左にと体重移動しながら膝を折り曲げるアレです。
最初に見た時はしっかりと踊っていたのに、凱旋ではあまりちゃんと動いてなかったのが、個人的には非常〜に残念でした。
顕さんならではの不気味な味わいがいい感じでしたのに。。。実に勿体ない。

あと、フランツの出始めのシーンでのサリエリとのやり取り。
初期ではサリエリの『君はその楽譜に何を描く?』と聞かれて『ぼくは……まず…ト音記号!……びしっと!』と、ゆっくりと大きく空中に描かれたト音記号が、凱旋では素早く細かい動きになってしまっていて、見ていて少〜しうるさい感じになってしまっていたかも。
ですがフランツの神経質で狂気的な面がグレードアップしていたので、そのせいかもしれないですね。
あの笑い声は。。。正直ちょっと怖い(笑)


と、こんな感じでした。毎度お粗末さまで〜す。


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